ラベンダーの育て方

ラベンダーは日当たりと風通しが良く、水はけの良い涼しい場所を好む植物です。よって出来れば一日6時間以上の日照時間があり、且つ西日の当たらない場所で育てたいものです。庭植えにする場合には一度植えると移動が出来ないので庭をよく観察して日当たりが良く、風通しの良い涼しい場所を選びましょう。もしそのような理想的な場所に花壇などが無いのでしたら無理やり庭植えはせずに鉢植えで育ててみるのも一つの方法です。

庭植えにする場所が決まったら土に堆肥や腐葉土などの有機質をすき込み、ラベンダーの好む土作りをします。

さらに高温多湿を特に嫌うアングスティフォリア系のラベンダーを植える際には高畝にし、水はけを良くするなどの工夫も必要になってきます。

鉢植えの場合でも水はけを意識した土作りが大切で小玉赤玉土6、腐葉土2、牛糞堆肥2の配合に苦土石灰と元肥を少々加えたものに植えると良いでしょう。

鉢植えの最大のメリットである移動できることを上手く利用して、日当たりと風通しが良い場所に置いてあげ、雨が続くような時には軒下へ移動してあげましょう。また、耐寒性の弱い種類のラベンダーを育てる時には気温の低下とともに室内の日当たりの良い場所や出窓のそばなどに移動してあげましょう。

水やり

ラベンダーの主な原産地の地中海性気候からもわかるようにラベンダーは乾燥気味の環境を好みます。よって庭植えでは植え付け後の根づくまでは水やりを行いますがそれ以降は自然に任せましょう。鉢植えの場合は鉢の底から流れ出るくらいタップリと与えたら次は表土がカラカラに乾くくらいまで待ちましょう。鉢の大きさや天候にもよりますが、秋や春には2〜3日に1回程度、真夏にはもう少し回数を増やすくらいで良いでしょう。鉢皿を使い水を溜めておくと根腐れの原因になりますので水はけを意識して鉢皿は使わないようにしましょう。

肥料

ラベンダーは株の大きさからは意外なほど肥料いらずで、植え付け時や植え替え時に元肥として緩効性の化成肥料を少量施せば問題ありません。あとは3月頃と暑さがおさまる9月中旬頃に化成肥料を追肥として施す程度で問題ありません。逆に夏の暑い時期には肥料を与えると株が弱ってしまうこともありますので暑い時期の肥料は控えるようにしましょう。

耐寒性

ラベンダーのなかでも耐寒性に優れている品種がアングスティフォリア系のラベンダーで約-15℃くらいまで問題なく耐えることが出来ます。しかし、その反面耐暑性には弱いので関東地方以南ではあまり露地栽培には向かず、鉢植えにして適切な管理を必要とします。約-10℃くらいまでの耐寒性があり、且つ耐暑性にも優れている品種がラバンディン系やスパイクラベンダーで関東地方などでも育てやすいラベンダーと言えるでしょう。ラバンディン系のラベンダーの開花は7月〜9月頃と一番暑い時期に咲くことからも耐暑性を感じることができます。

 

剪定

「ハーブの女王」とも言われるラベンダーに憧れる方も多いと思います。ただ、育てるのが難しいというイメージもあります。 それは水はけや風通し、日当たりなど管理についてと今回ご紹介する剪定についてです。 ラベンダーは剪定をきちんとするかしないかで、花が咲いてもその後の成長具合が変わってきますし、剪定せずに放っておくと、株自体が弱りやすく最悪枯れてしまうこともあります。 剪定は花が咲き終わった頃から秋ごろまでがおすすめです。 これからラベンダーを育てるという初心者の方も、剪定方法をきちんと理解して、ラベンダーの株ができるだけ長く育つように手入れしましょう。ラベンダーはなぜ剪定が必要かということですが、まずはラベンダー初心者栽培の方にも知っていただきたい、ラベンダーの性質についてお話しいたします。 ラベンダーが苦手とするものに、蒸れや風通しの悪さ、夏の暑さなどがあります。 特に日本の本州から東北地方にかけては「梅雨」という季節があり、ラベンダーにとって育ちにくい時期と環境です。その時期はラベンダーの開花時期と重なっていることもあり、ラベンダーの株に負担をかける季節になっています。 そして花を咲かせたままにすることで、なおさら株に負担をかけることになるので、花を咲かせたあとは、きちんと剪定してラベンダーの株への負担を減らし、枝を減らすことで風通しをよくし、夏を過ごすようにすると夏を乗り越えて秋も元気に育ちます。 ラベンダーは花が咲いているときはきちんと収穫を行い、その後剪定を行うようにしましょう。

花の摘み取り

開花がほぼ終ったラベンダー「はなもいわ」です。優しい雰囲気の種類ですが、北海道系のラベンダーの中でも、葉がフワフワとしていて過湿にやや弱い種類でもあります。 上でも述べたように、一番良いのは花がまだ終らないうちにきちんと収穫してドライフラワー等にして楽しむことです。でも、せっかく咲いている花、ついそのままで楽しみたくて摘み取りが後回しになってしまいがちです。開花が梅雨の時期とも重なり、収穫のタイミングを逃してしまうこともよくあります。そのまま梅雨末期、そして夏を向かえさせるのはあまりにかわいそうです。

 ラベンダーの花が開花し、満開になるのを待ってから花を摘み取るのは、株を守るという意味ではよくありません。 花は咲くときにため込んでいたエネルギーを一気に使いますが、同時に子孫を残すようにと種も作るので、株全体としては相当エネルギーを消費してしまうわけです。 そのため、すべての花が満開になるまで待っていると、株は開花後エネルギーをほとんど消耗し、疲れて弱ってしまいます。 こうなるとラベンダーにとってはとても致命的なことですし、ラベンダーの苦手とする花の時期が終わるころにやってくるじめじめした梅雨と高温多湿な夏に差し掛かるため、弱った株ではこのつらい時期を乗り越えることが難しくなってしまうのです。 ですから、ラベンダーの花は満開になる前につぼみが少し残っているぐらいで摘み取るのが適切です。 花が開花しきっていなくても香りは十分楽しめます。 ドライフラワーやポプリ、サシェなどにすれば長く楽しむことができるので、一度やってみてください。

ラベンダーの剪定目的と時期について

 ラベンダーの剪定は花が咲き終わってから秋ごろまでがおすすめですが、目的や時期はいくつかありますのでご紹介いたします。 ラベンダーは剪定の方法や時期によって目的は違ってくるのでこれから下でご紹介する目的別にわけた剪定の方法と適した時期をご紹介します。

形を整えるため

 ラベンダーは鉢やプランターなどで育てて1~2年たつと茎がさまざまな方向に伸びて樹形が崩れることがあります。 伸びすぎた茎が増えたり剪定を怠っているとこのように形が崩れることがあるので、ある時期になったら形を整えましょう。 形を整えるなら3月、または5月下旬~7月上旬、もしくは秋なら9月や12月の期間に伸びた分だけ、もしくは昨年以前の古い茎は茎の根元から切り取ります。

 収穫量を増やすため

 ラベンダーの栽培の楽しみである、花の収穫。花を摘み取る際は5月下旬~7月上旬の間がベストです。開花してすぐのほうが切り花にしたときの香りをより楽しめます。 収穫する時は、翌年も花を咲かせることができるように、ラベンダーの根元から4~6つほど節を残してその上を切り取るようにしましょう。

 株全体の健康を維持するため

 毎年茎が伸びるラベンダーは、2年も放っておくとラベンダーの根元が見えなくなるほど多数の茎を生やすので、これを放っておくと風通しが悪くなる上に日光が当たりにくくなります。 そうなると、害虫の被害に遭いやすくなったり、病気にかかったりして枯れてしまうことがあるので注意しましょう。 収穫と同じ5月下旬~7月上旬のタイミングで古い茎や伸びすぎたり、内側に向いた茎などを選んで、根元から2~3節残してその上を切り取るようにします。

2つの剪定方法

 ラベンダーの剪定方法には大きく分けて2つあって、一つは花を剪定する方法、そしてもう一つは風通しを良くする枝を剪定することです。 花の剪定ですが、これは咲き終わった花を伸びた茎事剪定するだけ。剪定がめんどくさいという方や、剪定方法がよくわからないという方は、花だけでも切り落としておきます。 きちんと花を剪定するならば、花茎の下に新芽ができているところから少し上で切り取るようにします。 丁寧な剪定は根気がいりますが、慣れてくると簡単にできるようになります。

①地際の枝を剪定

 風通しを良くするには、枝を剪定する必要もあります。まずは、地面にぴったりとついているような枝から切り落としていきます。 土が細かく、雨が降ると泥はねがしやすい場所でもおこなっておきたい作業です。 地際の枝を剪定するときは、地面についているような枝を株元にちかいところから剪定すると、株元の風通しが良くなります。

 

②枝すかし

地際の枝の剪定が終わったら、次に「枝すかし」といって、込み入った枝を減らす剪定をします。 これはなるべく枯れたような古い枝から減らし、株元近くから剪定するようにします。剪定の目安ですが、とにかく「涼しそうに見える」であればOK。株元から小さな新芽が出ていてそれが残っているようであれば大丈夫です。 思い切って枯れた枝や古い枝を切り落としましょう。

ラベンダーを剪定する際に、いくつかの注意点があり、以下にあげる事に留意し栽培を楽しみましょう。

開花し終わった花や枯れた花をいつまでも放置しない

新芽の向きに注意して剪定を

剪定は秋ごろまでに終わらせておきましょう。

絶対やらなければいけない「強剪定」

「強剪定」についてです。強剪定とは、読んで字のごとく、強めで思い切ったお手入れをすることで、初夏に向けて株の形を整えたり新芽がでなくなった古い枝などをすべて切り落とすことです。 雪が多く積もる地域では、枝折れ防止のために秋のうちに済ませるのもいいですし、枝が折れることを前提に、雪が解けたあとにその折れた枝ごと剪定する方法もあります。

強剪定の方法

 方法として最終的に根元から2/3ほどの高さになるまでしっかりと刈り込むことを目的に、枯れた枝や古い枝を切り落としていきます。 手順についてにまとめてみると以下のようになります。

①土についている枝や近い枝を切り落とします。

②古い枝を切り落とします。古い枝や太く木質化した枝から切り落とし、できるだけ根元まで刈り込みます。新芽の少し上まで切り落とします。 ③全体をざっくりと剪定します。 新芽の上で切るということを意識すれば、それほど慎重にならなくてもかまいません。これまでの株の大きさから比べて半分の高さになるように切ってみましょう。

④形を整えます。 高さをそろえて花の位置も同じになるよう仕立て上げます。 最終的には半円のドーム型になるようにすれば優しい印象の株に仕上がります。 強剪定後は枯れた木の根っこのように寂しい印象があるかもしれませんが、春が近づくにつれて、新芽がぐんぐん生長し、開花する頃には前年度よりも一回り大きな株になっています。 株がよりたくさん栄養を蓄えて次年度の花をたっぷり咲かせるには、この強剪定で思い切ってコンパクトに仕上げるのが重要なポイントです。

強剪定の頻度は、定植後2~3年目ぐらいから行い、その後はできれば毎年おこなうのがおすすめです。 特に夏の暑い季節は、放っておくとどんどん茎や枝が伸びて形が崩れがちですので、2年以上たつと、強剪定自体ができなくなってしまいます。