サクラという名称は、野生種15種のほか、園芸品種数で300以上もあるサクラ属の総称です。春の花木の代表で、公園、街路をはじめ個人の庭園でも植えられています。個人の庭園に植える場合には、中木程度の樹高になる種類(カワヅザクラ、オカメザクラ、ヨコハマヒザクラなどのカンヒザクラ系やマメザクラ系を親とする品種)が適しています。以前の属名はPrunusでしたが、近年はサクラ属の属名にCerasus(サクラ亜属)を用いる傾向があります。

水やり

庭植えでは、基本的に水やりは不要です。ただし、夏に乾燥が続くときは、2週間に1回程度、朝のうちに水やりをします。鉢植えの株への水やりは、夏場は1~2日に1回程度、朝のうちに行います。

肥料

 植えつけるときに、植え穴の底部に元肥として化成肥料を堆肥に混合して入れ、軽く覆土しておきます。晩秋から冬にかけて株の周囲に何か所か穴を掘り、有機質肥料と緩効性化成肥料を混合したものを寒肥として穴の中へ施します。肥料を地表にまくと、根系が地表に上がってくるので注意します。また、樹勢によっては花後に追肥をします。

植え付け植え替え

鉢植えは、2~3年に1回は必ず植え替えてください。適期は12月から3月です。植え替えを怠ると、生育が衰えるだけでなく立ち枯れを起こしやすくなります。また根を切らず用土を足すだけの鉢増しならば、4月まで行えます。鉢植えを購入した際は、小さめの鉢に植えられていることが多いので、一回り大きな鉢に植え替えたほうが水管理が楽になります。
庭への植えつけも12月から3月が適期で、事前に腐葉土などの有機物をよく混ぜた元肥を入れてから植えつけます。

 

栽培環境・日当たり・置き場

サクラは、日当たりがよいところを好みますが、強い西日の当たるところはあまり好みません。樹形は隣接する樹木などの影響を受けやすく、樹形がくずれやすい傾向があります。特に日陰になる場所の枝は枯れやすく、枝と枝との間隔が広くなって、日光を求めて枝先が伸びていきます。通気性、透水性がよく、肥よくで水もちのよい土壌を好みます。強風の吹き抜ける場所は好みません。

 

病気と害虫

病気:てんぐ巣病

ソメイヨシノをはじめ、エドヒガン系のサクラに多発します。症状の現れた枝は深く切除します。使用した刃物はよく殺菌して、次の作業を行います。

害虫:モンクロシャチホコ、コスカシバの幼虫

モンクロシャチホコは葉を食害し、コスカシバの幼虫は幹などに入って食害します。葉を食害する昆虫は、集団が小さいうちに見つけて、捕殺します。コスカシバは、根元付近の除草を行い、幹から出ているヤニを見つけ駆除します。

主な作業

剪定:適期は12月から3月上旬です。成長期に強い剪定をすると長期間開花しなくなるので注意します。太枝を切ることがないように小さい時から樹形を整えるようにします。やむを得ず太枝を切ったときは、防腐処理剤などで切り口を処理しておきます。

 


 桜の剪定に適した時期と注意点について

桜は剪定してはいけないという噂を聞いたことはないでしょうか。桜は枝を切ったりしてしまうと、そこから菌などが入りやすくなってしまいます。そして傷ついた枝から入り込んだ菌が原因で枯れてしまうこともあるのです。しかし、桜の剪定をしないと、桜の枝が伸びてしまい、樹形を崩してしまったり、害虫の絶好の棲みかになることもたしかです。では、桜の剪定はどのようにおこなえば傷つけることは少なく、形を整えられるのでしょうか。

  ①桜を剪定するときにダメージか少ない時期を選ぶ

 桜は剪定しすぎてしまえば、そこから菌が入り枯れてしまったり、病気にかかってしまうことがあります。しかし、それは適切ではない時期に桜の剪定や、強めの剪定をしすぎた場合などに起こり得る事態です。

桜の剪定でなるべくダメージを避けるためには、剪定の時期を見極めることが必要です。桜の剪定時期の最適な時期は年に1回、11月頃といわれています。その理由は2つあります。

1)桜が落葉樹であることです。落葉樹とは、木の休眠時期が近づくと葉を落とす植物のことをいいます。この時期になると枝についた花や葉は落ち切り、枝と幹のみになります。丸裸同然の状態のため、剪定がしやすくなります。

2)木が休眠時期であること。休眠時期は木の養分やエネルギー消費が一時的に抑えられる時期であるため、切り口の痛みや腐敗の進行が春~初夏と比べると遅れる傾向があるのです。

 の剪定でやってはいけないこと

 桜の木を傷つけないように剪定をおこなうためには、桜の剪定時期を守ることはとても大切なこと。ですが、その剪定時期を守ると同時に、剪定の際はいくつか気を付けなければいけないことがあります。その気を付けなければいけないことを見ていきましょう。

1)手で枝を折る

桜の剪定の際、枝を切る機会はよくあります。しかし、その際、道具を使うのが面倒くさいからといって手で枝を折るのはいけません。桜の枝を手で折ると雑菌が入りやすくなり、桜の木が弱ってしまう原因になります。とくに日本で多く植えられているソメイヨシノ(染井吉野)は短命といわれているため、手で折るなどもってのほかなのです。

2)消毒しないではさみを使う

消毒をしないではさみを使うと枝から雑菌が入りやすくなったり、はさみについた雑菌のせいで桜の木が腐ってしまう原因になります。消毒をおこなった剪定ばさみで桜を剪定しましょう。

3)枝を切りすぎる

枝を切りすぎるのも桜の剪定でしてはいけないことです。枝を切りすぎるということは菌が入りやすくなる場所を増やすということ。また栄養が十分にいきわたらなくなったりなど、デメリットも発生してしまうため気を付けましょう。

4)桜が活発になる時期、元気がなくなる時期に剪定をおこなう

桜の剪定時期は秋ですが、その後の冬、桜が活発になる春~初夏の剪定は避けるようにしましょう。春~初夏は桜が活発になる時期で、仮に桜が病気などにかかってしまった場合、被害が広まりやすくなります。逆に冬の時期は桜の病気に対する抵抗力が低くなるため、病気にかかりやすくなる時期だからです。活発時期を終え、1年のなかで弱る時期になる前の秋に剪定をおこなうように心がけましょう。

 

 

 

 


桜の剪定方法について

 桜の剪定時期になったら、いよいよ桜を剪定していきましょう。しかし、ただやみくもに枝を剪定していけばいいというものではありません。

剪定する枝を見極め適切な量の枝を剪定していきましょう。

桜を剪定する手順桜の剪定の仕方は以下の通りです。)

①桜の木は一番上から、樹形に気を付けつつ軽く切りそろえる

②切り口が直角になるように、樹形に沿って細い枝を剪定する

③切り口に癒合剤を塗る

太い枝を剪定する場合

樹形を乱したり、場所的にも邪魔なので、太い枝も剪定してしまいたいと思うでしょうが、むやみに剪定してしまうと桜が枯れる原因になります。切りすぎないように以下の方法で剪定しましょう。

①剪定する太い枝を1本決める

②枝の根元からから20㎝を目安に切り落とす

※このとき、傷口を平らになるように再度きりますので、その太さ込みで切り落とす

③切り口に癒合剤を塗る

剪定しても問題ない枝の種類

基本的に切りすぎはよくありませんが、樹形を整えるためにほどほどに切る場合はこういった枝を基準に剪定しましょう。

ひこばえ(木の根元から生えてくる細い木)剪定しないと桜が蓄えている養分がひこばえに吸い取られてしまうため、桜が元気に育ちにくくなります。

からみ枝(枝のまわりに絡むように伸ばす枝)放置しておくと枝同士がこすり合い傷ができてしまい、桜が病気になってしまう原因になります。

逆さ枝(一般的には上向きに枝が伸びますが、下向きで伸びる枝を逆さ枝といいます。)ほかの枝の成長を邪魔してしまう場合があるので、この枝も剪定しておきましょう。

枯れ枝・病気の枝枯れた枝や病気にかかってしまった枝は放置しておくと、桜の木全体に病気が蔓延してしまうことがあるので早めに剪定します。)

胴ぶき枝地面から約2m以下の、通行に邪魔になる枝のことをいいます。とくに通行が多い場所に植える場合はケガの元にもなってしまう場合もあるので剪定しましょう。)